「うそ八百八町」 読んでってくだされ!   

(その六)

 渦巻き
 渦巻きと言えば、吾輩がご幼少のみぎりに好きであった不二家のノースキャロライナを想い出す。
 それはさて置き、この渦が地球の自転に関係していることは有名である。洗面所の排水口を流れる水も台風も渦を巻くが、左回り・右回りと勝手気ままにその回転方向を決めているのではない。地球の自転に影響され、我々の住んでいる北半球ではみな右回りとなっている。南半球では左回りだそうだが、新婚旅行で一度だけ行った豪州のトイレの水の流れの確認を忘れたのは不覚であった。
 自然の摂理に適うことは、機器の計測レベル限界以下の微妙な差が生じるらしく、この渦巻き効果の研究も学会や企業で行われているそうな。そのいくつかの事例をここで紹介しよう。

■CDやレコードでもその回転方向を変えて作ると同じ録音でも音色に差があるそうで、マニアックなCDや高級オーディオ機器では南半球用として左回り仕様を輸出している。
■フィギュアスケートの選手(右利き)は、国際大会の行われる場所がオセアニア圏の場合、いつも通りにジャンプすると1/4回転ほど飛び過ぎてしまうと、スポーツ生理学会に報告されている。
■ネジやボルトについても垂直に取り付けられた場合は渦巻き理論に従った方が緩みにくいそうである。
■ヘリコプターのプロペラの回転方向にも影響し、燃費・航続距離に3%の差が出るそうだが、開発費がかさむ為、逆回転仕様は現在のところまだない。
■動物学者の間では、ヘビのとぐろの巻き方や動物の糞のとぐろの方向と健康・寿命について調査が進んでいる。

 蛇足ながら私のつむじは左巻きである。従って南米や南極に引っ越せば、もそっとマシな嘘がつけるかもと思う次第である。

(その七)

 冴えない話
 師走ともなると年越しの餅代稼ぎにこそ泥が増えると言われたものだが、最近は不景気と犯罪もグローバル化で大胆なものになって来ました。最近新聞で目につくのは、押し入った先での殺人と車の窃盗である。鬼平犯科帳でいう急ぎ働きというやつである。
 そこで最近スポーツ紙に載っていた記事から…

 アジア系と思われる車の窃盗団3人組みが、年末の荒稼ぎということで世田谷区内を物色していた時のこと。大型スーパーの駐車場でベンツが無造作に駐車してあった。シメシメとすんなりカギを開け「今日はいい玉を見つけられた」と喜んでアジトの横浜の港近くの倉庫へ帰還した。明朝には船に積んで中東あたりへ運ぶ手はずで、引渡し前、証拠隠滅の為にトランクを開けてギョッとした。寝袋の中に女性の死体…勿論そんなこととは知らず、あたりに指紋をベタベタつけたし、窃盗しておいて警察に届けるわけにはいかない…。このまま海外に運ぶしかない。仲介人にことを打ち明け、死体はインド洋で捨ててもらうことにした。もちろん代償としてベンツはタダ。
 当てが外れた3人組はその後、小銭を稼ごうとコンビニに。客を装って入りタイミングを伺っていると、後から入ってきた目出し帽の男が店員にナイフを突きつけてレジの金をわし掴みにして逃走。先を越されてしまい、警察が来る前に立ち去ろうとすぐ後を逃げるように外に出た。
 ついてねえやとヤケクソになっていると、暗い夜道を急ぎ足で歩いている女性が…。今度こそと女が大事そうに抱え込んでいるバッグを引っ手繰った。女性は「泥棒!」と叫ぶでもなく逆に逃げ去ったので、不審に思いバッグを開けると中から血塗りの包丁が…。茫然自失となっているところを巡回中の警察官に呼び止められ御用になった。
 取調べで3人は無実を訴えたが、カタコトの日本語でしゃべる、偶然が重なった突拍子もない三流ストーリーを信じて貰えず、コンビニの店員の「犯人は4人」との証言で豚箱行きとなった。包丁で殺されたのは近所の老婆で、また横浜のアジトからも血痕が検出されたことで、3人は殺人の罪でも起訴され「海外から来た殺人のプロ集団」として報道されたのだが…。数年後、証拠不十分で冤罪となった。

 大きな犯罪に巻き込まれた小悪党の証言から手繰って、事件を解決するのが平蔵さんのパターンだが、近代警察では真犯人は3件とも取り逃がしたという、良くありがちな冴えないお話であった。
今月のキーワード「つき」
ツキがないときゃジタバタしない、月がない夜は出歩かない、年末は餅つき出来りゃ良しとする

(その八)

 芝の庭のある家
 会社のTさんが、この頃ガーデニングを始めたそうだ。
 仕事振りからは、大雑把で辛抱強くない彼が、とても庭いじりをしたり、何かを育てたりの趣味を持つとは思えない。定年後に備えて趣味を持つというのでもなさそうだ。不可思議な思いでいたが、それ程親しくもなく、改めて聞く機会がなったのだが、先日の宴会で隣りの席になった折にそのことを聞いてみた。
 彼も酒の勢いで饒舌に話してくれた。Tさんは都内のマンション住まいでガーデニングといってもベランダのプランターでやっているそうだ。何を植えているのかと聞くと「芝」だと言う。私の聞き違いか、彼が酔っているのか、奇異に思い、聞き返した。すると、彼はこう説明してくれた。

 カミさんが、いつも口癖のように「芝の庭がある家に住みたい」と言う。少々うんざりしていたが、カミさんの夢をかなえてやれない自分の甲斐性のなさを反省し、ある日ふと思いついた。ベランダにプランターで芝を育てよう。12個ほどで一畳分になる。移動が可能なので、真夏の昼下がり、冷房を効かせたリビングにプランターを集合させてセッティングし、その上に寝転がるというのはどうだろう。究極の昼寝ではないか。カミさんの嬉々とした顔が目に浮かぶ…

 芝は順調に成育し、根付きもぼぼ完了したそうで、もうすぐ実現出来そうだと言っていた。
 その後「芝生の昼寝計画」が実行されたか、そして奥さんのリアクションはどうだったかを聞く機会に恵まれていない。聞くのが怖い気もする。そして、やはり甲斐性なしの私は、この面白い話を家でしたくても、やぶ蛇になるので出来ない身の上でもある。

(その九)

 その時歴史が動いた
 NHKの歴史番組は常に人気があるが、今放送しているシリーズは「その時歴史が動いた」というものである。決断の「その時」によって、後の世の歴史を決定づけた場面を取り上げている。
 現代の国際情勢での重要な舞台と問われれば、その一つに国連を挙げる人は多いと思う。戦後の歴史の節目での国連決議、特に安全保障理事会は米ソ中露などの大国の利害、駆け引きが繰り広げられている場である。
 まあ安保理の決議といっても、テレビ桟敷から見ていても、規定路線通りの流れや出来レースと解ることが多いのだが、たまに思いもかけない結果となることがある。TV・新聞などでの「大国の駆け引きの結果」との解説に、一応納得させられるのだが、どうも腑に落ちないこともある。
 そのことが一気に解決し、視界良好になったのは、某週刊誌の半ページ程の目立たない場所に掲載されていた記事であった。内容は「安保理決議の舞台裏」という題で次の通りであった。

 「安保理決議は最終的に理事国の国連大使の挙手で採決される。国連大使はある程度お歳を召した古狸(失礼)が多いのだが、それが原因で採決の珍事が時々起きる。重要な案件や賛成反対が拮抗している時ほど議論が白熱し、精神的な緊張(ストレス)と体力の消耗がある。それらが要因となり、国連大使が採決の場面で突如五十肩になり、賛否の挙手が出来ず、採決が逆転してしまったことが、戦後数回あった。勿論、その国はメンツがあるから、色々な理由をつけて否決に回ったと述べてはいるが…」

 その記事では、具体的にどんな場面の決議で起きたことかは記載されていなかった。多分、国際的に面倒なことになるとの上層部の判断ではないかと推測され、記事の扱いも小さくなってしまったようだ。ただ、次の内容は付け加えられていた。

 「その事件以降、各国では国連大使については特にメディカルチェックを厳しくし、運動能力のテストを極秘に行うようになった。それでも五十肩は突然やって来ることも多く、欧州の某国では100%は安心出来ないので、いざという時の為に後ろの席に座る官僚に腕をさりげなく持ち上げる訓練が、1995年から課せられるようになった」

 これからも国際紛争の火種が絶えない中で、決断ではなく、文字通りその双肩によって「その時歴史が(予期せぬ方向に)動いた」とならないよう願いたいものである。

(その十)

 ゴキブリの生態
 日本昆虫類研究所の発表によると、ゴキブリが人の口に入る生態について、検証されたそうである。
 発表したのは、同研究所の主任研究員で、ゴキブリの生態学の権威である柳川次郎博士である。名前を聞いてもピンと来ないかもしれないが、あの「ゴキブリコイコイ」を発明したのは製薬会社に勤務していた時の同氏の発明である。分野が違っていれば、ノーベル賞級と言われている。
 同氏によると、ゴキブリはその最期を迎える時に、暖かく湿気の多い(快適な)場所を選ぶそうである。その場所として選んだのが、同居している人間様の口の中という次第。口の中、奥深く進入し、食道から胃袋当りで永眠するケースが多いそうである。ゴキブリが口から体内に入ったのを見たことはないと言われるかも知れないが、これは暗闇の中、就寝中の出来事だからである。夜中、お手洗いに行こうと明かりをつけた時、ヨタヨタと頼りなく歩く、大きな黒々としたゴキちゃんと至近距離で目が合い、お互い「ドキッ!」としたことは、誰でも一二度はあると思う。もしかするとあなたのお口をご訪問する直前だったのかも…
 寝相悪くお口をパックリ開けていると「どうぞ」と言っているようなものである。朝、昨日変なものは食べてないのに腹痛や下痢になった時は、ちと怪しんだ方が良さそうである。

(その十一)

 火星大接近
 火星大接近が話題になっている。新聞の特集記事のひとつに「蛸も豊漁」と出ていた。「?」と思って見てみると、全国各地で今夏はタコが豊漁だそうである。それもタコツボ等の仕掛けは必要なく、水面近くに群れをなして現れたタコが簡単に取れるそうである。遺伝子の研究者(名前は忘れた)のコメントが載っていたが、ヒトゲノムならぬタコゲノムを解析した結果、作為的としか思えない遺伝子配列が組み込まれているそうで、それがあのスタイルを形成する基になっているとのこと。
 …火星とタコとゲノム…勘の良い方なら思いつかれたであろう。そう、火星人といえばタコのようなスタイルがまず想像される。ここからはあくまで推論であるが、前回の火星大接近の時に、現代の人類に匹敵する科学レベルを有していた火星人が、実験か悪戯かで、地球の生物に自分達の遺伝情報を組み入れて、自分達のそっくりさんとしてタコを作ったそうである。その後、彼らは環境破壊で滅亡し、地球のタコが生きた記念碑として残った。タツノオトシゴならぬ「火星人のオトシゴ」と言う次第である。
   肴酒

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